潮騒

地域の雑誌(年一回発行)に『潮騒』というのがあって、ぼくもこれまでに幾度かつたない詩をのっけてもらった。 先日、『潮騒』の編集委員をやっている知り合いから、詩を出してくれないかと電話があった。ぺージが余っているのだという。来週の水曜日くらい…

香り

今日予定していた実行委員会が中止になった。 竹とんぼづくりにも飽きて、以前書いたものを読み返していたら、こんな詩があった。自分で書いたものながら、どこかなつかしい香りがする。 願いおいしいものが食べたいね おとうさん すこうし甘くて サクサクし…

12月

12月も半ばを過ぎた。 今日は一日冷たい雨が降った。 予報では明日も同じような天気が続く。 あつくしずかに語れ2 詩人よこの世界の どこにも属さず ついに 何ものにもならなかった詩人よ 頑なに意思を貫いた詩人よ あなたがあなたの一生を通して 証明し…

満月

昨晩は、苓北で観月会。写真は苓北へ行く途中の五和町から見た島原・長崎方面。 月見は期待できそうにもない。雨が降らないだけ、良しとしよう。 苓北では、やはり台風の話がまず話題となった。漁師のタジマさんをはじめ、農家の哲ちゃんやケンちゃん、ミッ…

たくさんのわたし

津波蝶々だったらよかったな わたしは白いモンシロチョウ 母さんは黄色い蝶々 ひらひら飛ぶの 波の上を 向こうの丘の上まで ネルのねがい 「嫌いだ、嫌いだと思っていればさ、すぐに嫌いなものはやってくるんだ」 木の上で、もしゃもしゃ髪のフランの声がし…

パフォーマー復活!?

カミさんが今の職場をこの3月で離れることは90%確定した。 本来、カミさんはパフォーマーなのだ。それが、この6年の間、定時制高校という限られた中で演じ続けてきた。 この春、カミさんは新しいステージに踏み出す。 かって、ぼくはカミさんのために一つの…

アブラル・ドナルの憂鬱

乾いた空気と容赦のない太陽は 地上にいくつもの墓標の丘をつくった他にはどんな理由もない 戦争も飢餓も 伝染病も 放射能も一つの墓標の丘には 三百年の命が眠る 三百年? その間に生まれ 死んでいったもののすべて生まれて目が開き 父母の言葉を聞き 立ち…

スミレ

スミレは孤独だ 荒れ地に根付き 春に 一輪の花をささげる だれに? おそらく 創造主たる神に孤独であることと スミレがスミレの生を生きることは 当然の糸でつながっている スミレは孤独の中にあって 満ち足りている だれもスミレの幸せを奪うことはできない…

炭になる(2)

炭になる わたしを含め 自然界に存在するものは 様々な元素から成り立つ 炭になるとは 余計な元素を捨て去ることだ 水素も酸素も窒素も 捨てること 不純物として そうして初めて 炭素という元素だけが残る

雨の予報

2015年になったが、明るい展望は何もない。 これから先、様々な厄災が降りかかってくるだろう。自然災害もあるだろうし、政治的災難もあるだろう。私たちはそれに備えねばならない。あるいは、覚悟しなくてはならない。 しかし、その時まで、「暮らし」は続…

夜の浜辺で

波が光っている なんでだろう夜光虫さ赤い光が見えるよエビの目玉だよあの 海の底で青く光っているのは?海ホタルさじゃ、さ ここにいる父さんとぼくも 大気圏の外から見たら きっと光って見えてるね

やるべきか、やらざるべきか

路木ダムブックレットの出版記念会が一週間後になった。 先日、どう進めるかと話し合った。 まず、開会あいさつがある。続いて、乾杯の音頭。執筆者からの一言、参加者からの一言と進む。全体の時間は2時間だ。ここまででおよそ半分の時間が過ぎる。そのあい…

満月の夜

満月の夜 何を語りましょうか 音もなく月は現れ 命の悲しさと喜びを空いっぱいに奏でる お嬢さん何を歌いましょうか何を歌いましょうか 天使までが立ち止まるこの夕暮れ 海の片方に陽は沈み もう片方からは金色の月 あなたは帰るのも忘れて 恋しい人が海で死…

⁂変化する点描画

居間に一枚の肖像画がかかっています その肖像画は 細かな点描からなっていて もうずっと見慣れたものなのです 家族はこの肖像画の下で暮らしてきました 赤ちゃんが生まれて 暑い夏が来て 雲が風に飛ばされ 金木犀が何回も香り 母親が大きな手術をし 渚にあ…

あつくしずかに語れ

〜40年目のラブレター〜 君よ あつくしずかに語れ とおい空に雲がながれ 冷たい風が君をつつむ 君はしずかに悟る この一瞬の中に君はいて 永遠の中にいることを 一瞬の連続が永遠なのではなく 永遠は一瞬のうちに宿ると 君よ あつく語れ そして しずかに語…

路木ダム裁判

路木ダム裁判も最終局面に近づいた。次回が10月2日で、最終結審が11月20日と決まった。 最終的な争点が明らかになりつつある。費用対効果B/Cの問題だ。公共工事は、基本的に工事にかかる費用(C)が、便益(B)を上まわらないことが前提となる。…

あなたはあなたの影を地面に焼きつけることができたか

弱い存在でしかない つくづく思う あなたは生まれて今日まで生きた しかし 明日 あなたの影はないかもしれない 時は過ぎる 地球は回り 銀河は回転する かの国では 武器を作るために幾十万人が働き この国では 日々核廃棄物を作るために 何万の人が働く これ…

小さな菜食主義者たち

春にツワブキの根っこを植えていたら、丸い葉っぱがでて、葉っぱは少しづつ大きくなっていました。ところが、先ごろその葉に小さなまだらの点が見え始め、それは日を経るごとに増え続け、今日見たら、葉っぱの全体が虫食い状態。いや、小さな菜食主義者にし…

カエル、あるいは永遠ということ

いいか、真理とは共通項だ。したがって、すべてこの世界が共有するものを刺し貫いていなければならない。真理とは、始まりと終わりだ。誕生と死だ。かたちのあるものは、かならず、そのかたちをなくす。 それでは永遠とは何だ。 おれは思うのだ。永遠につい…

  雲を追って走れ

南の方角に雲のかたまり 雲に向かって走るおれは 長い旅から帰ったところだ 朝に出かけて 昼に帰る 長いながい旅から 今帰ったところだ

アブラル・ドナルの憂鬱

乾いた空気と容赦ない太陽は 地上にいくつもの墓標の丘をつくった外にはどんな理由もない 戦争も飢餓も 伝染病も 放射能も 一つの墓標の丘には 三百年の命が眠る 三百年? その間に生まれ 死んでいったもののすべて 生まれて目が開き 父母の言葉を聞き 立ち…

あつくしずかに語れ

君よ あつくしずかに語れ とおい空に雲がながれ 冷たい風が君をつつむ この一瞬の中に君はいて 永遠の中に君はいる 君よ あつく語れ そして しずかに語れ 語り部のように 巫女のように よろこびを語れ 哀しみを語れ 語られることのなかった やさしさと 人の…

ムーラン・ルージュ

ムーラン・ルージュは こう 言いたかった きれいな空気と水と 畑からとれる野菜と すてきな子どもたちと それから何よりも大好きなあなたと 小さな「わたしたちの家」で暮らしたかった ムーラン・ルージュは こう 言いたかった 朝には水汲みに行き 昨日拾っ…

どこから来たのか

どこから なんのために こんなにも生きづらい世に きみはやってきたのか町を歩くきみの姿はさみしく いつもかなしい その姿はすべてを失って 漂浪する 空腹の子犬に似ているきみよ だが 今日があったように明日はない 世の多くの人が 今日があったように明日…

庖丁を研ぐ

陽射しが明るく くっきりした影をつくっているので 今日は庭で庖丁を研ごう ユキノシタが新しい葉をつけ カキドウシも蔓を伸ばし始めた かがやく雲はしずかに流れ 空には天の教会の鐘が鳴り響きさて 家中の包丁を出して ゆっくり庖丁を研ごう 春が来たので

光のシャワー

朝方に大きな山が崩れる夢を見た 今日の一日はその夢から始まった 山がどうして崩れるの? 地震さ 地震はどうして起こるの? 大きなガマガエルがくしゃみをするからさ 大きなガマガエルってどれくらい大きいの? この国で一番大きな山くらい大きいのさ 長い…

性善説と性悪説

人の性は、善か、悪か。 世界には大きく二つの説があります。 そう言われた。中学生の僕は、そうかと思った。 また、言われた。 日本は、単一民族の国家です。 日本は、農耕民族の国家です。 やはり、中学生のころだ。 それらがウソと分かるまでに30年かか…

やさしさの王国

空には雲が浮かび 風が吹き 木の葉が舞い 一匹のアリの上に落ちる きみは一部始終を見た とうの昔にこの世界を離れた雲と 気まぐれな風と 春の芽吹きのために葉を落とす木と 突然の暗黒に戸惑うアリと きみは立ち止り そっとつまんで 木の葉を持ち上げる ア…

涙のかたちのティースプーン

朝のコーヒーに 砂糖とミルクを入れる 今日も暑く 今日の朝までに流されたたくさんの涙のひとつで あなたはカップのコーヒーをまぜる これはそのためのスプーン 涙のかたちのティースプーン

オジサンの逆襲

夏の雲がゆっくり流れる 上空一万メールにまで達した雲が 見えない速度で移動する 海を隔てて 山の向こうで 激しい上昇気流 オジサンはずっと思っていたのだ いつか いつか逆襲に転じようと ずっと押されっ放しだった 海の青さも空の青さも 深いところで理解…