2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧
たとえば 小さな島の 小さな海岸 奇蹟的に 唯一 残された 砂浜 朽ちた船の残骸が砂に埋まり 夥しい流木 カツオドリの死骸 だから? ここを人工海岸にするのだという コンクリートで固めた緩傾斜の護岸に 深い海底から採ってきた砂を積み上げ 夏の一時期 都会…
一枚の肖像画がかかっています その肖像画は、細かな点描からなっていて もうずっと見慣れたものなのです 家族はこの肖像画の下で暮らしてきました 赤ちゃんが生まれて 暑い夏が来て、雲が風に飛ばされ 金木犀が何回も香り 母親が大きな手術をし 渚にあふれ…
右へ曲がって 左へまっすぐ 見上げると 南の空に さそり座 元に戻って 左の突き当たり 見上げると やっぱり さそり座 いくつも角を曲がり クルクル 走り回り 見上げる 南の空には さそり座 地上が闇に覆われていたころ 人がいわしや鯨の油を燃やしていたころ…
どうして靴を捨てるのだろう。 捨てられた靴がどうしてこうもたくさん砂浜に流れ着くのだろう。 夏の靴を捨てたのか。 夢中で泳いでいる間に潮が満ちて流されたのか。 それとも、 こんなにたくさんの人が身投げしたのか。