2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

二十五夜の月

もうまもなく東の空が白々とするころ 二十五夜の月は ようやく中天にさしかかりました まわりには たくさんの星も輝いています 満月が 夜空のすみずみにまで 光の兵士をおくり 夜の世界をすっかり平定するのに対し 二十五夜の月は たくさんの星たちといっし…

干しダコは嗤う

暑い、もう、無茶苦茶だ。 朝7時、日の出と同時に婆さんが俺を吊るした竿を持って、国道を渡る。車の排気ガスを避けて、潮風の中で俺を干そうというのだ。 そうだ、俺は干される。太陽は、容赦なく俺の手足の先まで焦がす。 昨日まで、この先の海岸で海水浴…

路木ダム。

まったく、恥ずかしくって夜も眠れない。 おれは、とうとう、食えなくなった。 家賃を払えば、米が買えない。 電気代を払えば、ガス代が払えない。 職を探しても、中高年の身、おいそれとあるはずもない。 いいや、おればかりじゃない。あっちにも、こっちに…

竜宮の話

二人の男が防波堤でしゃべっています。 夏の、日陰も何もない防波堤の上は、灼熱の地獄のような暑さです。 一人の男がいっしょうけんめいに説明しているようです。「・・・あのなあ、入り江全体が桜色や。夕日にはまだ早い。不思議なこともあるもんや、と思…