2010-01-01から1年間の記事一覧

森で貝を探す

土曜日、長崎県諫早市で、日本ベントス学会や、貝類学会の集まりがありました。 千葉大学や岡山大学、鹿児島大学の研究者らが、天草でもぜひ調査したいということでやってきました。 主目的は、天然林に生息する希少貝類の発見です。 その前に、カサガイの研…

詩集『見えないところで』出版。

見えないところで―嶽本京一詩集作者: 嶽本京一出版社/メーカー: 鳥影社発売日: 2010/10メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る詩集『見えないところで』を出版しました。 お手にとっていただければ幸いです。

メダカの夏

雨が降り 雨はどんどん降り 田んぼは 池のよう メダカが泳ぐ 日照りが続き 日照りは容赦なく わずかに残った 熱い水たまりに メダカ このままでは メダカのイリコができちまう アヒルさんにお願いしよう みんなの意見が決まり フォイ フォイ フォオォイ アヒ…

やさしさ

あつい あつい やさしさ わしは今年67歳になるが ずっとこの路木川を見て育った 雨の季節じゃが どんなに雨が降っても この路木川が濁ることはなかと 見てみなされ 下流のこの橋から上に人家はなか 山に降った雨は 照葉樹の葉を伝い 山が吸収し 奥深い山の懐…

『信じる』

息子の部屋で わたしは1円玉と十円玉を拾って歩いた 粗雑に作られたザルから あらゆるものは こぼれおちた 先日 息子は都会へと旅だった 「なんとか やっていけるよね」 「ああ なんとかなるものだよ たぶん」 わたしは 条理を信じようと思う うながされるこ…

お嬢さん何を歌いましょうか

何を歌いましょうか 天使までが立ち止まるこの夕暮れ 海の片方に陽は沈み もう片方からは金色の月 あなたは帰るのも忘れて 恋しい人が海で死に とうとう自ら人魚になったお姫さまの歌 打ち寄せる波に踊る金色の砂粒の歌 ゆらゆら揺れるイソギンチャクと アオ…

思い出す歌

渚を歩いていて、ふと思い出した歌がありました。野坂昭如作詞の『黒の舟歌』です。長谷川きよしは、こんなふうに歌っています。http://www.youtube.com/watch?v=0aJmdG4bQeA&feature=related

歳月

3月の彼岸の日に行われてきた「頌徳祭」が、来年30回を迎えるのだという。 30年前、天草に建設予定の火力発電所に抗議し、抗議のハンガーストライキ中に亡くなった松本豊秋という人がいた。当時、埼玉の1DKの公団住宅に住んでいたが、そんな遠方までも新聞…

死んだ兵士の残したものは

自分が生きている現実に関われるということ。 渚を歩いていて、谷川俊太郎の『死んだ男の残したものは』という歌を思い出していました。 死んだ男の残したものは 一人の妻と 一人の子ども 他には何も残さなかった 墓石一つ残さなかった 死んだ女の残したもの…

たくさんの顔

父さん 人はいくつの顔を持っているんだろ 笑った顔でしょ 怒った顔でしょ 泣いた顔でしょ それから おいしいものを食べるときの顔でしょ ツトム君ておかしいんだ いつもぷんぷん怒ってばかり ちっとも笑わないし 一度も泣かないし なにを食べても同じ顔だし…

 明日

明日はないのさ 春が来て スミレが咲き 桜が舞い ウグイスが鳴いて それでも明日はないのさ 明日はないのさ 夜更かしをする人 お金を数える人 大声で話す人 今日がからからと回るだけで 明日はつくるもの 今朝の目玉焼きのように

春は嵐

やはり、春はあけぼのではなく、嵐だと思う。 春はすべてが変わる。しかも、劇的に。 のたりのたりの春の海は、長くは続かない。 4月に入って天草では早期米の田植えが始まった。 ツバメも飛び交い始めた。 今年は不思議な春だ。 満開のソメイヨシノの後ろ…

チームクロスケ

朝になっても太陽は出ず 雲は幾層にも厚みを増して 湿った風が地を這う 歌いながら行きなさい こんな日だからこそ 母が言う 途中雨になったら 雨宿りすればいい 父は言う きっと帰って来れるよ 僕が帰るようにさ クロスケが言う 彼は今日入院して 明日腫瘍摘…

ノン、ノン、ノン

満開の山桜に問う 人は進化したか ノン 人は宇宙の神秘に近づいたか ノン 人はついに真理を発見したか ノン 愛は成就されたか ノン かなしみは世界から一掃されたか ノン 怒りは克服されたか ノン では人は退化したのか ウィ

山桜、満開

山桜は、一年のうちに数日だけ私はここにいると、存在を主張します。 後は森の木々に紛れて、山を構成する樹木の一つとしてすごします。 山桜を見ながら、「地の塩」という言葉を思っていました。 砂粒の奥深くまで入り込んだ塩は、姿は見えない。でも、その…

海、または希望

この小さな入り江から始まる海は 岬を回り 海峡に出て もっと広い海へとつながる 願わくば 希望よ 小さなわたしの希望よ わたしが今日 両手にのせて放つ希望よ 今日の疲労とあしたの悲しみ 岸辺に運ばれた流木のように 誰にもかえりみられることもなく それ…

さくら くらさ

むかし むかしも 交通事故はあった 馬に蹴飛ばされ 馬車にはねられて死んだ人は 結構いたのだ 車の登場は しかし 事故の確率をいっきに上げた あっちでぶつかり こっちでつぶれ それにひきかえ 飛行機は安全です 比べてごらんなさい 自動車事故の何百分の一 …

砂のお家(うち)

潮が満ちてきます 砂のお家が しずかに しずかに 壊れていきます 翌日の砂浜には お家があったあたり すこうし砂が盛り上がっています じきにそれもなくなるでしょう こうして私は砂粒に紛れ 打ち寄せる波に洗われて 走り回る子どもたちの裸足の足を受け止め…

弁護士は北海道から来た

路木ダム裁判 弁護士は北海道から来た そう、天草までです。 県営路木ダムについて住民訴訟の3回目の公判が、3月3日に開かれます。この3回目から出廷してくれます。 もちろん、熊本で弁護士を探しました。しかし、結局、誰にも引き受けてもらえなかった…

冬の海

冬の海は澄んでいる。 冬の海は新しい命を準備している。 だからこそ 冬の海は神々しい。

「お正月」

新年明けましておめでとうございます どちらさまもおめでとうございます いい正月でございます 雪が降っております 少々寒うございます ふところはもっと寒うございます ええ、明けましておめでとうございます おい、おい、だんだん沈んでくるやないか ちっ…