2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

チビスケチビスケ

ネコというのは、水を嫌がるものだと思っていた。 しかし、チビスケはちがう。 台所の流しで水の流れる音を聞くと、どこにいても走って来る。そして、じっと流れる水を見ている。洗剤を置いていたカゴから洗剤をどけた。チビスケはそこから蛇口から流れる水…

あおいろの記憶

思い出してほしい きみが小さいころ 海はどんなだったか きみは川とどんなふうに 遊んだか わたしは海に生まれ 海と川で育った 海の深みの色は恐ろしい青で 小舟はその上をギシギシと進んだ 深い海の底で眠る龍が目覚めないかと心配した 川の向こうには やは…

じいちゃんの展示会

じいちゃんの展示会の日が近づいている。 最近、頭を抱えるじいちゃんの姿を見ることが多くなった。 じいちゃんは、海から流木を拾ってきては、いろんなものを作っている。知り合いの陶芸家から「陶芸祭りに合わせて展示会をしませんか」と誘われた。それで…

哲ちゃんの十五夜

庭にゴザをしいて 机を並べる 料理がのせられる 大皿の刺身が三つ 小魚をすりつぶして油で揚げたものと ボラのフライの皿が三つ ナスとタコの味噌炒めの皿が三つ 月が地上の雲からはなれ 顔を出す 鹿の生肉の刺身が差し入れられ 塩茹でのピーナッツがある 茹…

賭け

夜の道を車で走っていたらお巡りさんが検問していた。当然、止められた。いかにも真面目そうな若いお巡りさんが近づいてきた。 「飲酒の検問です。これにハーしてください」ときた。いつものセリフだ。 「ハーするのはいいけど、その前におれと賭けしない?…

十三夜姫

十三夜の月を写真に撮ろうと駐車場に出て三脚を据えた。 三脚にカメラをセットして、さて撮ろうとするが、台風13号から変わった熱帯低気圧のせいで、次々に雲がかかる。シャッターボタンに人さし指をのせたまま、雲と月と、にらめっこが続く。 そんなとき…

鹿児島大学に佐藤教授がいます。

干潟に生息するゴカイなどの「ベントス」が専門です。 今日、八代からのフェリーで天草へ来ました。松島の船着き場まで迎えに行き、一路河浦へ。路木ダムの建設現場をまず見て、一言。 「これはひどい」 山肌はいよいよ削られ、コンクリートプラントが出来上…

再会

20年振りの友人がやってきた。正確には23年振りかもしれない。 彼女は我が家に2泊して、夫と二人の子どもが待つ埼玉へ帰った。 「不登校・登校拒否」の全国連絡会議が、今年は長崎県の佐世保であった。それが終わって、彼女は長崎経由で天草へ来たのだった。…

抱きしめたくて

半月の月はきらきら西の空です あなたはつましい弁当を持って出かけ 今ごろ食べているのでしょうか 夜の校舎はさみしく広く そして なにより悲しく 半月の月はきらきら西の空です わたしは 抱きしめたくて 抱きしめたくて あなたを待っているのです

定念

むかし、定念(じょうねん)という坊さんがいました。 彼の言葉が、たった一つ残っています。 「我、あらずんば、一切、無なり」 自分がいるからこの世界はあり、自分がいなくなれば世界もなくなる。そんな意味だと思います。 デカルトの、「我思う、ゆえに…