2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

月例朗読会『高瀬舟』(森鴎外)

今回の朗読は、森鴎外の『高瀬舟』でした。 「大人たち」が中心の朗読ライブになりました。 さて、これまで気楽に朗読をやらせてもらっていた『ばってん』が、来月にも引っ越します。 引っ越し先は200メートルと離れてはいないのですが、天草で唯一残った…

ある人生

流木を探しに海水浴場に行った。 遠くに小さなプラスチックのバケツを持った人がいる。おもちゃのような赤いバケツだ。ときどきしゃがんではなにかを拾っている。釣り餌にするために、ヤドカリでも拾っているのか。 お互いの距離が詰まった。 「こんにちは」…

哲ちゃんのキュウリ

哲ちゃんは、ビニールハウスでキュウリをつくっている。 一年に一度、屋根のビニールの張り替えをする。二、三人でできる仕事ではない。そこで加勢人をたのむ。作業の肝心なところは、哲ちゃんと同じくビニールハウスで農業をする人たちが受け持つ。われわれ…

トントン・パテルのお話し(全)

(1) ある日のことです。 トントン・パテルの住む村に大きな地震が起こりました。 パテルは、父さんと母さん、妹と一緒に、ちょうどお昼のご飯を食べていました。最初、お膳の上の茶碗がカタカタと音をたてました。パテルがおやおやと思っていると、ドンと…

一部修正して、まとめてみました。 これまで読みにくいものを読んでくださって、ありがとうございます。 避難と希望の話です。

      トントン・パテルのお話し

(6) 「この水は、チチハリヤマの雪が溶けて湧き出たものだよ」 タットばあさんは言いました。 「その証拠に、見てごらん。常に湧きだしているだろう」 レミィは自分のコップを出すと、さっとすくって飲んでしまいました。 「じゃ、わたしも」 母さんのメ…

    トントン・パテルのお話し

(5) タラチネヤマを下りるのに丸一日かかりました。 不思議なことに、村を出てからこれまでに生き物の気配を感じたことは一度もありません。鳥の鳴き声さえ、聞かなかったのです。それが、タラチネヤマを下りる途中、空の高いところを白いネコカラスが飛…

トントン・パテルのお話し

(4)「おう、これはひどいね」 タットばあさんは、ブドンの足を見て言いました。そして、乾燥したヨモギの葉を出して、少しの水で湿らせてからブドンの足に当て、包帯で巻きました。 「まて、まて。これじゃ、靴がはけん」 タットばあさんは、ブドンの靴を…

花と雲と流木の展示会終了

展示会が終わりました。 去年と同じように、晴天。 にも関わらず、ヒマ。 野の花と雲の写真を撮っていました。 荷物を車に積み、コーヒーをごちそうになって、窯元をでると夕焼け。 トントン・パテルは今日はここまで。 トントン・パテルのお話し 3 パテル…

展示会二日目

展示会、二日目が終わりました。 ウィークデイということもあってか、お客さんもボチ、ボチです。 明日からの三連休を期待しましょ。 トントン・パテルのお話し (2) ダーバは村の人たちを集めました。村に重大な危機が迫っていることは明らかでした。 ダ…

今日から展示会

丘の上の窯元の庭先で展示会です。 去年も期間中、晴天でした。 どうやら今年もいい天気の様子です。昨日行ったら、窯元はまだ窯入れの最中です。 「長年やってて、窯出しが間に合わないなんて初めて」 そう言いながら、窯の中に隙間なく詰めていきます。 「…

トントン・パテルのお話し

(1) ある日のことです。 トントン・パテルの住む村に大きな地震が起こりました。 パテルは、父さんと母さん、妹と一緒に、ちょうどお昼のご飯を食べていました。最初、お膳の上の茶碗がカタカタと音をたてました。パテルがおやおやと思っていると、ドンと…