オジサンの逆襲

夏の雲がゆっくり流れる
上空一万メールにまで達した雲が
見えない速度で移動する


海を隔てて
山の向こうで
激しい上昇気流


オジサンはずっと思っていたのだ
いつか いつか逆襲に転じようと


ずっと押されっ放しだった
海の青さも空の青さも
深いところで理解することなく
押されていた


国家という張りぼて
皮をはぎとってみな
なにが見える
利権に群がるオオシロアリの群れ


不思議なのはかれらのほとんどが
自身の安泰と
一族の繁栄を願いながら
国家 国家と叫ぶことだ


今日が過ぎたように
明日もきますように
今日が健康で平和だったように
明日も原発はおとなしく発電し続けますように


海を隔てて
山の向こうで
激しい上昇気流
オジサンはしずかに逆襲を考えているのだ