春は嵐

やはり、春はあけぼのではなく、嵐だと思う。
春はすべてが変わる。しかも、劇的に。
のたりのたりの春の海は、長くは続かない。


4月に入って天草では早期米の田植えが始まった。
ツバメも飛び交い始めた。
今年は不思議な春だ。
満開のソメイヨシノの後ろで遅咲きのヤマザクラが咲き、さらにその上では、ミツバツツジが山を彩る。
すでに、照葉樹の森では、若葉が目立ち始めた。


春風や 闘志抱きて 丘に立つ  
虚子
この句を思い出して、これは虚子の幻想だろうと思った。あるいは、願望というべきか。
それよりも、
「窓打つ嵐に夢も破れ…」と歌う『北帰行』の方が現実味がある。
あるいは、
「柔らかにやなぎあおめる北上の
岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに」とうたう啄木に親しみを感じる。


やはり、春は嵐だと思う。


そのなかで「春リンドウ」には、先日再会しました。