2011-01-01から1年間の記事一覧

浄化という過信

ずっと、海がもつ浄化能力が何の根拠もないままに信じられていた。 海は、あらゆるものを希釈し、撹拌し、遠くへ運ぶのだと。 しかし、水俣では水銀が魚に蓄積し、多くの人が苦しみながら死んでいった。 これは今も進行中の事実だ。 4月は鯛族の産卵の時期…

ばぁちゃんのチャーハン

ばぁちゃんは肉を食べない それでチャーハンにはチクワを入れる ほかに玉ねぎを刻む 色がきれいになるようにと ニンジンとピーマンを刻むばぁちゃんは中華鍋に油を入れる 弱火のまま先に飯を炒める それから 刻んだ野菜を入れて 野菜に火が通ったころを見は…

たくさんの命に

羽があったら 羽があったらよかったな おじいちゃんには透明な羽 トンボのようなね おばあちゃんは大きな黄色い羽 アゲハ蝶のようなね お父さんにはうすい空色の羽 ミンミンゼミのようなね お母さんは光にかがやく黄色の羽 花から花へ飛びまわる蝶のようなね…

手羽先の先

この冬、地元のスーパーで見つけた手羽先の先が気に入っている。その手羽先の先だけがパックされて、100円なのだ。最近、こいつを買っている。 それに立派な大根が、60円だ。そう、手羽先の先で煮る大根が気に入っている。 ただし、ダシにはそれなりに…

愛は武装しない 愛は飾らない 愛は自らをさらけだす 愛は他者のためにある 愛は見返りを求めない 愛は奪うものではなく 愛はあなたが持っている 愛は共感でもあるし やさしさでもある さあ しずかに語ろうか 愛について

ふたり

あなたが悲しいとき わたしも悲しい あなたがうれしいとき わたしもうれしい あなたが笑うと わたしも笑う 昨日の悲しみも 今日のよろこびも 明日の不安も ふたりいっしょ 雨の日は二人でぬれ かがやく海は ふたり目を細めて 雨にぬれる木の葉のように 風に…

あつくしずかに語れ

君よ あつく語れ そして しずかに語れ 語り部のように 巫女のように よろこびを語れ 哀しみを語れ それから やさしさと 人の傲慢を語れ 君よ あつくしずかに語れ 真理が必ずしも正義ではなく 正義は真理ではない この世界の不条理を語れ 未来の王国について…

春の海と…

昨日春の海を見、今日は照葉樹の森と古い道のわきにある馬頭観音を見てきました。 海の写真の奥にうっすらかすんで見えるのは、雲仙普賢岳です。 漁船はゆっくり走っています。おそらく、サワラ漁だと思います。長い竿を立て、疑似餌、今風にいうとルアーで…

ゆっくり歩け

人生は短い だからゆっくり歩け 二月になれば 梅の花が咲く 水仙も花をひらく 寒かった一月も もう 終わった 凍った心もとけだす あなたよ 大事なあなたよ 人生は短い だから ゆっくり歩け

日記

じいさんは自動販売機で売っているあったかい汁粉が好物だ。 おれは、じいさんのところへ行くのに、汁粉を二缶買う。 「じいさん、生きてるか」 これがいつものあいさつだ。 たいていは寝ている。おそらく、一日二十四時間のうちの、二十時間は寝ている。何…

「珍味」

こんばんは お久しゅうございます 今日は珍味について話させてもらいまっせ なんか、ものすごく、鼻息あらいな そか、わしな、3日寝なんと考えたんや 嘘つけ、昼寝て、夜寝て、朝寝して、たまに起きたと思うたら夢見とる こないだ、そういったばっかりじゃ…

不評な子守唄

坊や ねむるな ねむれば 坊や おまえの父さん いなくなる 坊や ねむるな ねむれば 坊や おまえのかあさん いなくなる 坊や よくおきき よくみて 坊や 正しいことは とおらない 坊や この世は 悲しみ あふれ 幾百年と かわらない 坊や ねむるな ねむるな 坊や…

 スローな運動にしてくれ

わしはな ずっとここで暮らしてきた 何もかも わかっとる 最近 具合が悪かった 病院に行ったら 心臓肥大だといわれてな 体が ふうわ ふうわ する わしの たましいの半分は 地上を離れたのかも知れん なに そっでもよかと わしがいいたかとは もちょっと ゆっ…

「スローフード・スローライフ」

こんばんは お元気ですか おこんばんは 寒うなりましたな おい、お客さんに向かって「おこんばんは」はないんじゃないか 何でや 何でも「お」をつければいいというもんじゃないだろ。例えばだな、「坊ちゃん」というのはいいが、「お坊ちゃん」といったら馬…

あなたはわたしの名を呼んだ

〜恋する二人へ〜 あれはいつのことか 二人のあいだに 時が濃い霧のように立ちこめていたころ 静寂と喧騒とがめまぐるしく入れ替わっていたころ あなたはわたしの名を呼んだ だからわたしはきた そしてここにいる あなたのかたわらに

空想と現実

むかし、むかし、ロシアの小説家ドストエフスキイは、こういったそうです。 「空想的なものほど、現実的なものはない」 大学でのロシア文学の講義の時です。ロシア文学の講師は続けます。 この世界の理想を求めて走る若い青年に、もっと現実を見るようにと、…

しゃべるネコ

クロスケのやつ、どうも自分のことをネコとは思っていないようだ。 夜中の3時、4時になると決まっておれを起こす。 「腹が減ったからメシをくれ」 「外へ行きたいから窓をあけてくれ」 そのたびにおれを起こす。隣で寝ているカミさんは起こさない。 起こし…