浄化という過信

ずっと、海がもつ浄化能力が何の根拠もないままに信じられていた。
海は、あらゆるものを希釈し、撹拌し、遠くへ運ぶのだと。


しかし、水俣では水銀が魚に蓄積し、多くの人が苦しみながら死んでいった。
これは今も進行中の事実だ。


4月は鯛族の産卵の時期だ。
腹をすかせた鯛族は、大量のコウナゴを食べる。
漁師はこの時期、コウナゴに似せた疑似針で鯛を釣る。


今でも私たちは、この世界についての9割は分かっていない。
この先、ヨウ素セシウムプルトニュウムが関与するさらに未知の世界が現れる。
「想定外」という言葉が今年の流行語大賞をとる勢いで使われているが、想定自体が不可能なのだと、まず、認識してもらいたい。
想定するどんな根拠も持っていないのだから。