「珍味」

こんばんは
お久しゅうございます
今日は珍味について話させてもらいまっせ
なんか、ものすごく、鼻息あらいな
そか、わしな、3日寝なんと考えたんや
嘘つけ、昼寝て、夜寝て、朝寝して、たまに起きたと思うたら夢見とる
こないだ、そういったばっかりじゃないか
まあ、そんな細かいこと言わんと、ほれ、中国でもいいますやろ
白髪、3千丈なんて。つまりな、いいたいことを正確に伝えるためにやな、
ぎょうさんな言い方もあるちゅうこっちゃ
ま、いいわい。それで3日も寝ないで考えたことってなんや
こないだ、落語聞いてましたらな、おもろいこというてましてん
おい、こら、おまえ、この前のネタも落語だったろう
いやあ、落語はおもろいでんな
珍味の話しどっせ
珍味といったってキャビアやおまへん
ツバメの巣でもあらしません
何かちゅうと、蚊の目玉なんですわ
おい、蚊の目玉って、あのブーンと飛んでくる蚊の目玉のことか?
そうでんねん
そうでんねん、って、あんなものどうやって集めるんだ?
そこだよ、ワトソン君
いやあ、昔の中国の人はえろう賢かった
コウモリが蚊を食うことにきづいたんや
そこで、これや、思うたんや
コウモリ捕まえて腹割いてみると、案の定や
蚊は食っても目玉だけは消化せえへんさかい
胃袋の中は蚊の目玉でぎっしりや
ほう、それで、どうやって料理したんだ
いいことゆうやんけ、ワトソン君
焙烙(ほうろく)というやつ知ってるか
焼き物で出来たフライパンみたいなもんや
むかし、ひいばあさんがゴマを炒ったりしていたあれか
ピンポーン、あたりぃ
その焙烙で気長に炒るんじゃ
炒ってるとだんだん香ばしい匂いがしてくる
してくる
おい、よだれたらすな
・・・で、それから、どうする?
葛湯をつくるんや
じゃがいもデンプンとちゃう、ほんなもんの葛湯でっせ
そこへ、香ばしく炒った蚊の目玉を一掴み
一掴みって、おい、あんな小さなもんを一掴みいったらものすごい量だぞ
ざっと、蚊3百万匹分や
もったいないなあ。こう、10粒くらいづつ毎日というわけにはいかんのか
いかん。差し上げる相手いうのは、王さまとお妃さまや
そいで、ここからが料理人の腕の見せどころや
まだ、あるのか
掴んだ蚊の目玉を葛湯のお椀の上にかざす
それを、指の間からさらさらと落とすんや
なんか、石川啄木みたいだな
ただ落としてるやおまへん
王さまには、亀、お妃さまには鶴の絵をかくんや
そしてはじめて、不老長寿の妙薬でございます、とすすめるんや
いやあ、手がこんでるなあ。値段つけるといくらぐらいになるんだ
ま、1億円は下りませんな
おい
なんや
明日からそれやろ。コウモリ捕まえよう
信じたんかいな
信じた・・・。
漫才を信じてどうするねん
もっとも、おれはおまえのそういうところが大好きやねん
もう、涙がでるほど、大好きやねん