あおいろの記憶

思い出してほしい
きみが小さいころ 海はどんなだったか
きみは川とどんなふうに 遊んだか


わたしは海に生まれ
海と川で育った
海の深みの色は恐ろしい青で
小舟はその上をギシギシと進んだ
深い海の底で眠る龍が目覚めないかと心配した


川の向こうには
やはり青い淵があり
大きな岩には
いつも河童が座っていた


わたしの遠い記憶には
まだ若い父と母がいて
その父と母の記憶には
また 父と母がいて
あおいろの記憶のページは続く


思い出してほしい
子どものころ 海はどんなだったか
川とどんなふうに 遊んだか
わたしたちは海に生まれ
海と川で育ったのだから