『水道局』

こんばんわ。さあ、今日は水道の話でっせ。水は人間にとって大事なもんです。人間、水と空気がなかったら生きていけません。その大事な水を取り扱っているのが水道局や。ところがな、この水道局の職員ときたら、公務員根性、丸だしや。
なんか、気合入ってるな。
あんたももちっと気合入れんかい。
漫才に気合入れてどうする?どっかの組に殴り込みますか。
あんなあ、あんたのその分かったようでいて、ほんまはなんにも分かってない、台所のナメクジみたいな性格、何とかなりませんか。
台所のナメクジとは、よう言ってくれますな。おれがナメクジならおまえはなんだ?
わてはな、そのナメクジ一匹一匹集めて、たっぷり塩をふりかける「塩かけ婆や」。
性格悪いな。おまえ小さいころいじめっ子だっただろう。
ただのいじめっ子とは違うわい。正義の味方や。悪ガキが気の小さい子をいたぶっている。そこへ登場するのが、わてや。
月光仮面みたいだな。で、どうしたんだ?
悪ガキどもを殴り倒す。立ち上がったら、また、殴り倒す。
おとろしい。そんなに目立っていたなら、あだ名があったのじゃないですか。
「あねご」と呼ばれとったな。
お見それしました「あねごさま」。それで、今日は水道局の話でした。
そうや。おとといのことや。わて、水道料金払おう思って水道局いったんや。
そしたら?
水道局の料金払い込み窓口がえらく混み合ってます。何事か思うて、耳澄ましました。そしたらな、水道料金払えんけど、水道だけは止めてくれるな、そんな人がいっぱいや。電気やガスは止められても仕方ない。けど、水だけは勘弁してほしい。みんながそう言っている。
それで、水道局の職員の対応はどうでした?
これが腹立つやんか。水道局の会計は、一般会計から独立して、独立採算制となっています。みなさんがお払いいただく水道料金が基本です。そう、ぬかしやがる。
だからどうすると?
水道料金が未納の方には、水はまわせませんと、しらっとそう言いよるんや。あいつらな、象の皮でもかぶっていると思いまっせ。
で、あんたはどうした?
見ていてあんまり腹立ったからな、ライオンのような大きな声で言うてやりましたわ。
ほう、なんて言いました?
おいこら、おまえらは人間の顔した「人面猿」か。いやそう言うたら猿さんに申し訳ないな。そう思うて、おまえら、人間の顔した「馬鹿」か、言いましてん。そしたら今度は、馬さんと鹿さんに申し訳ない。
なにをごちゃごちゃ言っている。
そうやない。とにかく吠えましたんや。月に向かって吠えるレオの心境ですわ。
レオですか。でも、レオはオスですけど。
オスもメスもあるかい、腹立つもんは腹立つんや。
正義の味方、弱い者の味方ですな。
いいか、よう聞け。いらんダムに90億円も使って、その分、水道料金値上げしよる。そやから、払えん人が出てくる。そいで払えんかったら水は止めます、こんな理屈ないやろ。そら、あんたらはいい。なんせ、年収が600万円からあるんさかいな。でも、この市の現実を見てみい。お年寄りはわずかの年金でもって暮らしてはる。それにこの市、財政力指数は、同程度の自治体の中で最下位や。あんたらな、もらいすぎだとは思わんのか。なに考えて仕事してはる。なんも考えとらんだろ。
えらい。よう言った。
おまえらの主人はだれや。市長じゃないやろ、市民やろ。
水道局長はおるんか。あんたなぁ、この人たちの水道料金は、私の退職金から引いといてください、それくらいのことがどうして言えないんや。そら、あんたの退職金はなくなるかもしれん。けどな、そうしたらあんたは日本中の注目の的や。名誉と金は後からついてきますわ。
しかし、頭と口がよう回りますな。感心します、ほんと。
アホが。なに感心しとる。この現実を嘆かんかい。
・・・なにを泣いとる。
だって、現実を嘆けと・・・。
嘆くいうんは、怒りと悲しみがいっしょくたになったもんや。
・・・器用なやっちゃな。片目釣り上げて片目は泣いてはる。やっぱり台所のナメクジや。