花と雲と流木の展示会終了


展示会が終わりました。
去年と同じように、晴天。
にも関わらず、ヒマ。
野の花と雲の写真を撮っていました。




荷物を車に積み、コーヒーをごちそうになって、窯元をでると夕焼け。


トントン・パテルは今日はここまで。

   トントン・パテルのお話し

     3

 パテルや村の人たちは、町から反対の方向にあるタラチネヤマを目指しました。ダーバと幾人かの男たちが先頭を行きます。
タラチネヤマは険しくはありませんが、長い上り坂が続きます。坂の途中までは、背の高い広葉樹の森が広がっています。大きな広葉樹の葉っぱが空を覆っていて、そのせいで山道に白いものはありません。そのかわり、まだ昼間だというのに、夜のように暗いのです。
 パテルは、村の人たちの最後を歩きました。伝令役です。遅れそうな人がでると、村人の間をすり抜けて、先頭のダーバに伝えます。
いつの間にか、パテルの横にツツルが並びました。ツツルも大きなリュックを背負っています。
「重たくないかい」とパテルが聞きました。
「それは重いわよ」
ツツルはパテルの方を見て言いました。「でもね、わたし、思ってみたの。これから今夜の食事をするでしょ。そのあとにはお茶だって飲むわ。すると、明日の荷物はその分だけ軽くなっている。そうやって毎日毎日少しづつ軽くなっていって、やがてリュックの中にはなんにもなくなる。そうなる前に、白いもののない土地へ着ければいいなって」
パテルは黙ってうなずきました。今、ツツルが言ったことが、みんなが不安に思い、漠然と「今後」を考えるときのすべてでしたから。つまり、食べ物があるうちに、白いものがない土地へたどりつけるだろうか、と。

足もとに丸いすべすべした石が目立つようになりました。前の方がすこしだけ明るくなったようです。タラチネヤマの半分を登ったあたりです。
「痛い、痛い。もう、おれは歩けないよ」
パテルのすぐ前で声がしました。鍛冶屋のブドンです。そういえば、少し前から足を引きずるようにしていました。
「おれは鍛冶屋だ。毎日、火を扱うのが仕事だ。だから、おれの手は象の皮のように厚くなっている。ところがよ、おれの足ときたら、まるで赤ん坊のほっぺたのように柔らかいんだ。もう、痛くて歩けない」
ブドンは、足を投げ出して座りこんでしまいました。たしかにブドンの白い足からは、マメがつぶれて、血が流れています。パテルは、村人のあいだを抜けて、先頭のダーバのもとへ走りました。
「ブドンが、マメがつぶれてもう歩けないといっているよ」
「そうか」
ダーバは短く答えました。「少し休もう。そのあいだにブドンの手当てをしよう」
ダーバは両手をあげて、それから静かに横に開きました。休むときの合図です。
「タットばあさんはおれと来てくれ」
タットばあさんを見つけて、ダーバは言いました。
タットばあさんは、普段から山に入ってはいろんな種類の薬草をとり、乾燥させて、効き目ごとに袋に入れて持っていました。