巡るということ

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木陰のネコ

急に朝晩が冷え込んできた。

よく晴れた午前10時ごろ、ネコたちは絶妙の位置にいる。

10月初旬の今、光と影のバランスのとり方が実に絶妙なのだ。

 

なぜか、『キョンキョン』を思い出した。

それはこんなふうに始まる。

 

キョンキョンは、小学五年生だ。埼玉で公団の団地に住んでいる。父さんと母さんと小学一年生の妹の未新子(みじんこ)がいっしょだ。

キョンキョンは、京京と書く。だれも本当は、どう読むのか知らない。京京は、京が二つある。京は「ケイ」とも読む。それで、京が二つで「ケイジ」と読むらしい。

じいちゃんが名前をつけた。おれは小さいころからキョンキョンと呼ばれてきた。ほんとうは「ケイジ」と読むのだと知ったのは、最近になってからだが、無視している。

妹の未新子はもっとかわいそうだ。だれも未新子(みじんこ)なんて呼ばない。シン子で通っている。生まれた時に一五五〇グラムと小さかった。見に来たじいちゃんが、ミジンコみたいに小さいなと言って、そのまま未新子と名付けてしまった。やっぱり、犯人はじいちゃんだった。