■
何気ない日常だが、ネコの世界もいろいろあるようで、写真の中央でウィンクしているネコは、先週木曜日から出かけていて、約一週間ぶりに昨日帰ってきた。どこへ行って、何をしていたのか、まったく分からない。帰るなり「ワォ、ワォ」と叫びながらエサを食べ、兄弟たちとスキンシップをし、その後は日常に戻った。背中に白い斑点があるので「ホシ」と呼んでいる。
東北の地震と津波から来年3月で10年となる。政府はトリチウムなどを含んだ汚染水を海へ廃棄する予定のようだ。漁業者らの反対の声に何も答えることなく、年内にも結論を出す予定という。
さらには、日本に原発を持ち込んだ一人である中曽根元総理の葬儀に9000万円以上の金を出し、哀悼の意を示せときた。
スガは権力の持つ万能感に酔いしれているようだ。
これも10年前の、津波の話。
ネルのはなし
「嫌いだ、嫌いだと思っていればさ、すぐに嫌いなものはやってくるんだ」
木の上で、もしゃもしゃ髪のフランが言いました。
「好きだ、好きだ、いつまでもこのままでいたいと思っていると、あっという間にいなくなってしまうのさ」
ネルは寒い冬がいやでした。
昨日は冷たい風が吹き抜け、ネルの小さなあたたかい心臓の音も耳を澄まさなければ聞こえないようでした。
今日は風といっしょに雪が舞っています。ネルの小さな目の前を白い雪は次々通り過ぎて、まるで白いカーテンのようです。
もしゃもしゃ髪のフランの、歌うような声が聞こえます。
「春はきらいといってみな
お花はきらいといってみな
お日さまきらいといってみな
きらいなものはすぐにくる」
ネルは小さな声でいってみました。
「春はきらい。お花はきらい。お日さまもきらい」
「それじゃ、聞こえないよ」
もしゃもしゃ髪のフランはいいます。
「それじゃ、野原にだって届かない。お日さまなんか、ずっと遠くにいるんだから」
ネルは、大きな声ではっきりといいました。
「春はきらい。
お花はきらい。
お日さまなんて大っきらい」
するとどうでしょう。なんだか少しあたたかくなった気持ちです。
風の音が静かになり、雪がやみました。
「ほらね」
もしゃもしゃ髪のフランが木からおりてきました。
「願いごとはさ、反対のことを願うのさ。なぜって、願いごととこの世界とは、鏡になっているからね」
母さんと父さんのいない二度目の冬です。
ネルは、ずっと迷っています。
ネルは、母さんと父さんが大好きでした。それで、どうしても母さんと父さんをきらいといえないのです。母さんと父さんに会いたくないといえません。
山の上では半分の月が輝いています。