小さな小さな花

庭というのか、山に続くわずかな開かれた土地で、2,3年放置すれば元の山に帰ってしまうような場所に、小さな花が咲く。名前は知らない。知らなくてもいいように思う。「野草」、それで充分な気がする。
どれも、直径が3ミリから5ミリくらいの小さな花だ。
例えば、こんな花。



歳とともに大きくて派手な花は好きではなくなった。ついでにいうと、大声でしゃべる人間も嫌いになった。人前に出て目立ちたがる人間は、もっと嫌いだ。
そして、それだけだ。

私たちは、社会の片隅で生きていると思っている。いや、思わされている。
しかし、そうではないことが小さな野草を見ていて分かる。この場所が、世界の中心であり、世界には「片隅」などという概念はそもそも存在しない。「中心と周辺」という考えから解放されるべきだろう。


この木の実、ムラサキシキブというのだと88歳になるおばあちゃんから聞いた。

なるほど、ここにも一つの中心があり、物語がある。