マダム・ノグチのタコめし


昨夜は苓北で「観月会」と称しての飲み会だった。
中秋の名月だという。
夕方6時半過ぎ、大きな、白っぽい月が現れた。

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テッちゃんは、ススキやハギやカキの実やそのほか山の花を甕に飾り付けてから、市場に行った。その日に収穫したものを持って土曜日を除く毎日、市場へ行くのがテッちゃんの日課なのだ。
ミッちゃんが、収穫したばかりの落花生を塩茹でしてドサッと持ってきた。
テーブルには例のごとくあふれるような料理が並ぶ。タコの刺身、バリ(アイゴ)の刺身、小ぶりのコノシロのセゴシ(頭と内臓をとったコノシロを背骨に直角に骨ごと薄切りにしたもの)、すりつぶした小魚の揚げ物、玉ねぎといんげんかき揚げ。

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そして、極め付けがマダム・ノグチのタコめし。
(写真あり)

この写真は一晩たった今日のもの。余ったタコめしは温め直して今夜の夕食になった。

ミカンはシゲキさんとこの初物。

タコの話で思い出すのは、漁師のタジマさんのはなし。

「タコが岩にへばりついて動かない。何をしているのだろうと見ると、産み付けた卵に新鮮な海水を吹きかけている。自身は骨と皮になって、いや、タコには骨はないか。とにかく、やせて、筋張って、それでも一心に海水を吹きかけている。
一度、そのタコを獲ったことがあった。狩猟本能のせいかもしれない。それで、食ってみたけど、硬くて食えたものじゃなかった。俺は後悔したよ。ああ、激しく後悔した。なんでそのままにしておかなかったかと。
その時の後悔は、今でも心に刺さっておると」