現代死語辞典
【命の重さ】
かって、「人の命は地球より重い」といわれた。
今では風船のようにも軽いようだ。イラクやアフガニスタンでテロリストの命が空気よりも軽かったように。
そして日本では、福島をはじめ、東北から関東までの広い範囲で子どもたちは放射線の被曝にさらされながら生きる。ここでも命は、陽炎のように軽い。
【民主主義】
日本では戦後のほんの一時期、「民主主義」の萌芽が見えた時期があった。
しかし、みんなが民主主義の夢を見ているあいだに、中身は変わってしまった。
あれほどの先人の犠牲の上にたどり着いた民主主義だったが、「多数を制すること」が民主主義と居直る勢力に敗北した。
手を貸したのは、テレビ、新聞などの大手マスコミだった。
【組合】
これも死んでしまったものの一つだ。
現在と、全体と、遠くを見る視点を忘れ、自身の条件闘争にのみ専念したあげく、その存在理由さえも失ってしまった。
【正義】
正義とは本来、ないものだった。権力者はそれをあるかのように装って、人々を戦争へと駆り立てた。
正義の反対語は、「寛容」である。
【教育】
人は百人百様である。百人は百人のそれぞれのやり方で未来を目指す。それは各自の未来でもあるし、世代を超えて受け継がれていく人類の未来へと統合されるものでもある。
教育は、「あなたがあなたであること」の意味をゆっくりと伝えるべきであるのに、これを放棄し、学校はミカンやリンゴの選別機と化した。