古い写真

古い写真を見ている。昭和20年ころから30年ころの写真だ。
青年がいる。友人と二人で一枚の写真に収まっている。たぶん、二人がいるのは、当時の船着き場だ。
季節は夏。背景は、海。
二人とも20代だろう。


彼らは、すでに80歳を過ぎた。
写真右側の、背が高い方が、ぼくの叔父だ。彼は、この後結婚し、離婚し、再婚して一人の子どもがいる。今、関西に住んでいるが、もう、天草へ帰る体力も気力もない。
彼の兄であるぼくの父の死に際して帰ったのが最後の天草だろう。5年前のことだ。


ぼくは彼に問う。
あなたは、孤独たりえたか、と。
時とともに老いるのではなく
あなたの意思で老いたか、と。


重ねて尋ねる。
あなたはあなたの意思で老いたのか。