詩人よ

この世界の どこにも属さず
ついに 何ものにもならなかった詩人よ
頑なに意思を貫いた詩人よ
あなたがあなたの一生を通して 証明したかったものが
なんであったのか
西の山にしずんでいく星の明かりのようにも 
かすかに 分かる気がする
言葉は無力だ
あなたはそう言いたかったのだろう
この世界で 正義は
ラグビーやサッカーのボールのように力ずくで奪われる


あなたは海とその向うの島々を見
空を見 形を変えて流れる雲を見
そこで生きる人々を見る
あなたの視点は いつか地上を離れ
ウミネコのように
白いネコカラスのように空を飛ぶ


詩人よ
あなたは何ものにもなれなかったのだ
なぜならあなたは詩人で
やはり この世界の価値の外にいる


それでも
これからしばらくは
あなたは 訥々と言葉を紡ぐだろう
それは 翻弄される正義ではなく
たましいと真理についての言葉であるだろう
わたしはあなたを見守る