科学的という迷信

キョンキョンの話


今日、学校で原発についての先生の話があった。
原子力は、将来のエネルギーです」と、先生は話し始めた。
「地球は今、温暖化という問題に直面しています。なんとかしなくてはいけない。世界中のたくさんの科学者が、温暖化について警告しています」
先生は黒板に丸い地球を描き、もう一つ、離れたところに円を描いた。
「これが地球で、こっちが太陽です。
それから、黄色いチョークを横にして地球の周りにぼやっとした線を描いた。
「これが地球を取り巻いている二酸化炭素です」
「日本をはじめ、世界中の国々が二酸化炭素の排出規制に取り組んでいます」
「そして、原子力二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーなのです」
「福島での原子力発電所の事故がありましたが、でもきっと、科学はこれを克服し、乗り越えていくでしょう」
「質問がありますか」
真っ先にミツオが手をあげた。
原子力発電所からでる放射性廃棄物はどうするんですか」
「とりあえず、どこかに貯蔵しておくでしょうが、きっと、科学が解決してくれます」
おれが手をあげた。
「先生は、科学が宇宙と地球と人間について、どれくらいわかっていると思っているのですか」
「それは、今は全部とはいえないが、でも、科学は日々進化、発達している。やがて、すべてが分かる日が来るだろう」
ミツオが立ちあがった。
黙って先生の前まで行くと、先生の顔を殴りつけた。
ミツオは叫んだ。いや、吠えた。
「バカ、バカ、バカ野郎」