牧水の歌

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冬の雲仙普賢岳と湯島

年末から妙に若山牧水を思い出していた。

牧水は、宮崎生まれで延岡中学を経て早稲田へと進む。

ぼくが初めて牧水を知ったのは高校生のころで、教科書に載っていたいくつかの短歌に鮮烈な印象を受けた。

記憶のままに書き出してみる。

  降るべくは降れ

   照るべくは照りいでよ

    今日の曇りは我を狂わしむ

あるいは、こんな歌もあった。

  海を見よ 海に日は照る

  山を見よ 山に日は照る

  いざ口を 君

そして、よく知られた白鳥(しらとり)の歌。

  白鳥は哀しからずや

  海の青 空の青にも染まずただよう

ぼくの中での極めつけはこの歌だ。

  幾山川越え去りいかば

   寂しさのはてなむ国ぞ

    今日も旅行く

 

10年ほど前に東京から来たイさんのアッシーをして宮崎から鹿児島と回ったことがあった。宮崎県庁は、昭和のはじめに建てられたという古い建物だったが、一階に牧水を記念する一室があった。これだけで宮崎を見直した。それまで東国原なんぞを知事に選びやがって、と半分馬鹿にしていたのだったが。そうなのだ、それをいうなら今はもっと状況は悪く、緊迫している。東京都民は小池を選んだし、大阪は吉村や松井を選び、なにより時代錯誤の自民党が変わらずこの国を牛耳っている。

新年年明けだが、世界は終末へと向かっているようにさえ思える。

それでも希望は「寂しさのはてなむ国」を目指す者たちがいるということだ。

少数ながらも確実にいるということだ。