ニイちゃんのびる

ニイちゃんは相変わらず車上猫を続けている。今月末で5週間になる。新聞紙をちぎっていたトイレを猫砂に変えた。水を入れる容器を車の移動中も倒れないように、陶器の重いものに変えた。
しかし、連日の暑さにニイちゃんは相当まいっている。
「どうでもしてくれ」というような投げやりな目。
こう言っているみたいだ。
「オイラはなんでここにいて、どうして地獄の業火に耐えなくてはならないのか、どう考えても分からん」
「毛皮着てるんだぜ。それも、本皮の」
「この皮、くるっとめくってさ、八木節でも踊りたい心境だい」


一方、チビスケはマイペースだ。
流木で椅子を作っているおれのそばにいて、優雅に毛づくろいをしている。
「ふん。暑い時は涼しい場所を探すのさ」
「人間なんて、ダメ、ダメ。気まぐれで、いい加減で、見せかけのポーズだけなんだから」
全く、耳が痛い。