久々の海




午後から、海側の道を選んで友人の家へ行った。
この場所へ来たのも久しぶりだ。
車を降りて、浜辺を歩いてみる。使えそうな流木は、ない。トンボが止まるための小枝を少しもらった。


午前中の植村先生の話を思い出していた。
「僕の親父は、すべて検定で資格を取ったから、検定試験を受けるために東京へ行かねばならなかった。戦時中のことで、僕は、まだ小学校の一年生くらいだったかなぁ。親父は、特高警察によって下関で足止めされた。
親父は、漢和辞典をトランクに入れていて、それが、冨山房の赤い表紙の漢和辞典だった。彼らは、この赤色が気に入らなかったらしい」

それから、
「70年たって、また同じ時代が来ようとしている」。