二人で歩く


二人で歩く町は残暑の白い光
間もなく十月というのに
三十度を超える
いろんな九月が過ぎた
そして三六度目の九月が終わろうとする


大型電気店は白い光にあふれ
二人は雲の上を歩いているよう
レーゾーコをください
入れ歯の男が言う
は?冷蔵庫ですか?
そ、レーゾーコよ
やはり入れ歯の女がいう


店員は可愛く 頼りなく
やっぱり雲の上の世界のようで
カードがこうで
ローンがそうで
白い世界の決まりごと


新しく始まる暮らしに
小さな白いレーゾーコが欲しいだけなのに


六度目の秋を数えて
少しの進化もしていないらしい二人は
今日 白い光の中を歩いた