クチナワ


天草は島国で、古い言葉が残っている。奈良・平安の言葉が残っていたりする。
その一つに「クチナワ」がある。何のことはない、ヘビのことをそう言うのだ。
で、ぼくはずっと、クチナワは、てっきり「口縄」とばかり思っていた。縄に口がついてヘビ。しかし、そうではないようなのだ。クチナワは、「朽ち縄」という意味らしい。

9月も後半になって頻繁にヘビを見かけるようになった。
先日はカエルをくわえているヘビを見つけた。「ギョ、ギョ」と妙な声がするので見ると、ヘビがカエルをくわえていた。すでにカエルの体の半分はヘビの口の中にある。うちの猫の二匹が見つけてちょっかいを出すが、ヘビは確実にカエルをのみ込んでいく。

昨日は、ぼくの前に必死の形相で緑色のカエルが跳んできた。そのすぐ後ろには真っ黒なヘビが首をもたげてカエルを追っていた。ヘビの前に割って入った。ヘビはカエルしか見ていない。近くの小枝でヘビを叩いたが、ヘビの目は、なおもカエルを追っている。もう少し太めの枝でヘビを叩くと、ようやくヘビはあきらめてうらめしそうに去っていった。

苓北の月見会は、暑い雲に覆われていた。

今年は、陸も海も雨に悩まされた。
「毎週、網の掃除をするが、そのたびに泥と格闘よ」と、漁師のタジマさん。
「海に潜ってもタコも見えんとよ。とうとう今年は干しダコはつくれんかった」と、ノグチさん。

翌朝の苓北の空。