この道のはてには、一軒の家があるだけだ。
その先はけもの道となって山へと入っていく。
なぜ、ここに住むのか。
何ものかに導かれるようにして、ここにきた。
ちょうど一年前に初めてこの家を見た。
かなりきわどい家だと思ったが、なぜか、ここに住もうと思った。
南に面した家の前には、鬱蒼とした杉の木が日光を遮る。西側は、照葉樹の林だ。したがって、冬のこの時期、日照時間は短い。
それでも、なぜ、ここに住むのか。
何ものかに導かれるようにして、という以外、確とした答えはないだろう。
その何ものかをみきわねばならない。この、山の家で。