街中ギャラリー『紙芝居のグレッチ』


グレッチは去年も来た。
一年ぶりに会ったのに、どこか懐かしさを感じる。
多分、30歳くらいだろうと思って、
「グレッチさんはいくつ?」と聞いてみた。
「40です」
あっさりと返ってきた。
「40というと、昭和49年の生まれ?」
「どうして分かるんですか。その49年生まれです」

ぼくの娘が昭和53年の生まれで36歳なので、4を足して、4を引くという転換を瞬時にやっただけです。

「49年生まれには変わった人が多いといいます。リュックサックを背負って世界を旅してみたりとか。わたしも中、高と名古屋でお嬢さん学校でした」
「それで、今は紙芝居?」
「そ、私もその端くれ」
「そうか。でもさ、あの頃の空気って、おおらかだっというか、光がいっぱいあったというか、つまり、自由とか寛容とかが今よりもいっぱいあったと思うんだよね」
「そうかもしれません」
「いずれにせよ、健闘を祈っています」
「健闘?そっか。毎日が闘いだものね」


グレッチは、天草の3日を終えたら四国へ行くと言っていた。そのあとは名古屋だと。