誕生日のころ



この時期になると北西の季節風が吹き始めて寒くなる。昼の時間が急に短くなり、日本海側の気候の影響を受ける天草では、曇りや雨の日が多くなる。
ズボン下をはき、セーターを引っ張り出す。灯油を買ってきて、ストーブに火が入る。
里では、柿が熟し始め、それをつつきにメジロがやってくる。


小学生のころ、まもなく明治維新から100年が経ち、やがて、東京オリンピックが開かれ、西暦2000年になると二十一世紀になるんだといわれて、まったく実感がわかなかった。二十世紀も半分を少し越えたあたりだ。それよりも、その時50歳近くになっているだろう自分が想像できなかった。このことは今でもよく覚えている。


埼玉県上福岡市在日朝鮮人三世の林賢一君が、いじめが原因で自殺したのが1979年だった。上福岡市で差別といじめの問題にかかわった。それから30年以上経ったが、差別といじめは減るどころか増えている。
いったい、私たちはどんな社会を作ってきたのだろうかと思う。


福島第一原発では、今日から燃料棒の取り出し作業が始まる。不測の事態が起これば、東日本一帯は壊滅する。
秘密保護法案が、衆議院で採決されようとしている。
安倍や石破を揶揄することはたやすいが、揶揄だけでは済まない状況にある。



「正月や 冥途の旅の一里塚」
この句は多分、一茶だったと思う。正月がそうであるなら、誕生日も同じようなものだ。
2013年の誕生日は、ことさら寒い。