暗いことが多い中、先の展示会での、この子の笑顔に救われている。
かれは、帰る時まで繰り返し、繰り返し、竹とんぼを飛ばした。嬉しそうに、少しづつ上手に飛ばせることを自慢するように。
あまりの嬉しそうにしているものだから、記念写真を一枚、というと、素直に応じてくれた。
かれが帰るとき、思わず渡してしまった。
「もしも、壊れた時のためにもう一本持っていって」
かれはこぼれるような笑顔の残像を残して帰っていった。
二つの竹とんぼを持って。