モヤシのひげ根
モヤシのひげ根はできる限りとることにしている。
以前、埼玉に住んでいたころ、ある中華料理屋さんで「野菜炒め」を食べたことがあった。店構えからして、ごく普通の中華料理屋さんだったが、出された「野菜炒め」に入っていたモヤシは、見事にひげ根が除いてあった。たんにそれだけのことだが、それによって「野菜炒め」は味、見た目とも実にすっきりしたものになっていた。
それ以来、自分でモヤシ料理を作るときにはひげ根はとるようにしている。
ところが、ひげ根をとるのは意外と厄介なのだ。一袋35円のモヤシのひげ根をとるのに間違いなく15分はかかる。短気な人にはできない。トランプで「神経衰弱」をやっている気分になる。埼玉のあの中華料理屋には、モヤシのひげ根とり専門の店員がいたのだ。おそらく。
近頃は「根切りモヤシ」なるものも出ているようで、何度か買ってみたが、どうもイマイチなようだ。「根切り」を信用して使うと、根が残っていたりする。それに、モヤシの根を切る機械は、べらぼうに高いらしい。
やはり、ひげ根は一つ一つ時間をかけてとる方がいい。食べる人のことを思い描きながら。