久米島6(最終回)

相変わらず、小雨が降り続いている。久米島の武蔵に別れを告げた。
「どうも、どうも、お世話になりました。機会があったらまた、来たいと思います」
「はい。お待ちしております」
 

空港では息子が待っていた。サブ講師の女性も一緒だ。
「お荷物になりますが」といって、彼女はお土産をくれた。


那覇で一時間くらいの待ち時間があった。ロビーには土産物屋が並んでいる。ふらふらとのぞいてみる。大方の土産物は久米島で買ったし。結局、琉球新報を一部買った。
久米島でもそうだったが、那覇でも子どもがよく目に付いた。三連休の初日ということもあるだろうが、福岡でも熊本でもこんな光景はないだろう。若い夫婦が二人三人と子どもを連れている。それも学齢に達するかどうかの、まだ幼い子どもだ。昨年三月、北で起きた災害は、南の子どもたちによって復興されるのかもしれない。


飛行機は雲の上を飛ぶ。一面の雲海。と、思っていたらところどころに青い湖のようなものが現れ出した。機内放送。
「現在、高度およそ1万メートルを、最速の時速950キロで飛行しています」
奄美を過ぎたころから青い湖の領域が拡大した。屋久島が目に入った。すると、その向うの島は種子島か。九州に近づく。薩摩富士といわれる開聞岳が見えた。確かにきれいなシルエットだ。その向うでは、桜島が噴煙をあげている。
どうやら東シナ海のコースを飛ぶらしい。甑島が左下に見えた。川内原発の白い建物が見える。天草の西海岸を北上する。苓北火電のやはり白い建物がはっきり見える。
飛行機はそのまま長崎上空を通過し、再び海上に出て、北西の方角から福岡に入った。しばらく福岡の街並みを見ながら飛び、そして着陸。福岡空港から博多駅まで地下鉄で二駅。新幹線に乗る。ガラガラだ。一つの車両におれらしかいない。こんなんで大丈夫かね。熊本から三角線に乗り換え、三角駅へ。三日間置きっぱなしの車に乗って、天草へ走る。
着いた。
玄関を開ける。
チビスケが待っていた。