久米島5

アーラ浜
―死者が行きつくところー


ここの光景が最も強烈だった
生の気配がなんにもないのだ
生きて動いているものがなにもない
渚といい 砂浜といい
じっと目を凝らせば
動くものはあるはずだ
そう信じて目を凝らした
しかし なにもいない
累々とした珊瑚のかけらのほかにはなにもない
海は透き通っていて かぎりなく美しい


この浜のもの
なにひとつ
持ち出してはならぬ
小石のひとつ
珊瑚のかけらのひとつとて


島に言い伝えられた言葉だ
死者はしずかにここにある
思いわずらうことも忘れて