2012-02-02 久米島5 日記 アーラ浜 ―死者が行きつくところー ここの光景が最も強烈だった 生の気配がなんにもないのだ 生きて動いているものがなにもない 渚といい 砂浜といい じっと目を凝らせば 動くものはあるはずだ そう信じて目を凝らした しかし なにもいない 累々とした珊瑚のかけらのほかにはなにもない 海は透き通っていて かぎりなく美しい この浜のもの なにひとつ 持ち出してはならぬ 小石のひとつ 珊瑚のかけらのひとつとて 島に言い伝えられた言葉だ 死者はしずかにここにある 思いわずらうことも忘れて