日にち薬

土曜日、カミさんが転んだ。
歯医者に行って、コンビニで食べ物を買って大江の須賀舞多海岸で食べて、そのあと下田温泉に行く予定だった。
須賀舞多海岸には急傾斜の階段がある。勾配はおよそ70度、高さは4メートル。
下から2段目でカミさんは転んだ。
ぼくのせいかも知れない。
ぼくが先に降りた。階段の下に、茶色のサンダルが一つ。ぼくが履いているやつと同じものだ。ぼくのは、底はすり減り、亀裂が入り、いい加減捨てようかと思案している。片方しかないが、これは新品同様だ。
「うちで履いてるのと同じサンダルがあったよ。持って帰ろうか、片方だけど」
ぼくの後から降りていたカミさんは、その瞬間に転んだ。
一瞬、茶色のサンダルに目を奪われたのかもしれない。
階段の下は、西海岸の波にもまれて丸くなった石や珊瑚のかけらや貝殻でいっぱいだ。その中へカミさんは落ちた。
コンビニで買ったお茶で冷やした。左目の下がはれてきている。顔面にパンチを受けたボクサーのようだ。
月曜日には、わき腹が痛いと言い出した。火曜日、今日がピークかもね。
さて、水曜日の今日は、どうなっているか。