およよ組

なんかしらんけど、「およよ組」というのがあるらしい。
ときどきうちに電話がある。おれが電話に出ると、「あ、キョンキョンさんですか」といわれる。じいちゃんのおかげで、有名になったみたいだ。
どうも、話からすると、じいちゃんが「およよ組」の代表らしいのだ。
じいちゃんに聞いてみた。
「およよって、なに?」
「およよか。およよは、そぼろとかおぼろとかの総称だ。つまり、今はあるが、明日にはない、ものとでもいうか」
分かったようでわからない。
「じゃ、およよ組って何するの?」
「基本的に人の手助けをする。街を歩いていて、“およよ”と思う人に出あうことがあるだろう。どっから見ても、頼りなくて、危なげな人だ」
「じいちゃんみたいだね」
「さすがにわしの孫だ。じいちゃんをよく見ている」
「でも、さ。じいちゃんみたいな“およよ”の人が街にいっぱいになったら、誰が“およよ”の人を支えるのさ」
「そのときは、キョンキョンに頼もうか」


どうも話がずれていると思う。普通だったら、いきなりおれじゃなくて、おれの父ちゃんにまず、話がいくだろう。でないと、世代の溝は、埋まらない。
おれの出番はそのあとだ。