砂糖湯

「砂糖湯を飲もうか」
夕食のあとで 
すっかり 赤い顔をした父親が言う
なんのことはない 
妹や弟の湯飲み茶碗に
スプーン一杯の砂糖を入れ
お湯を注ぐ

子どもたちは
父親のまわりに輪になって
熱くて 少し甘い砂糖湯をすする

父親はなんだか上機嫌だ
「おい、母さんもどうだ」
夕食の後片付けをしていた母さんが
いそいそとやってきて
少し離れて座る
手にはしっかり自分の湯飲みを持って

「母さんは特別だ」
そう言って 父は
スプーンに2杯の砂糖を入れる

もう、母さんは
溶けてしまいそうだ