しわぶる。

昼間、今年は米を作りたいという若い友人を呼び止めて、米作りのベテランから話を聞いていました。
「荒おこしから始まって、水を入れてしろかき、3月の半ばになれば苗の準備もせなならん。そして、4月に田植えだ。今年は4月10日ごろになるかな」
一連の米作りの話の中で、害虫のカメムシの話になりました。
「ありゃ(カメムシは)米ば、しわぶるとぞ。まだ、かたまっとらん乳のごつ柔らかい米に取り付いて、しわぶると」

しわぶる。久々に聞いた天草の言葉でした。
意味は「しゃぶる」と重なるのですが、しゃぶるよりも強い意味を持つように思えます。
赤ん坊がお母さんのおっぱいを吸うのは、しゃぶるですが、梅干の種をその味がなくなるまでしゃぶるのが、しわぶる。
金貸しが、貧乏人を骨までしゃぶるのが、しわぶる。
悪徳領主が、領民を骨まで搾取するのが、しわぶる。

つまり、「骨の髄までしゃぶる」を、一言で言って、「しわぶる」。

方言の力です。