散歩

  散歩


二人が歌う
フォォーイ、フォォーイ
雨の舗道を サンダル履きで
一人は右に
一人は左に傾きながら
二人は歩く
歌いながら
雨に滑りながら
フォォーイ、フォォーイ


二人が夢見ていたのは
小さな喫茶店
コーヒーの香りあふれる店内
香りは舗道にまであふれて
 夢、消えちまったよ
 夢、つかもうぜ
小さな喫茶店の会話は
テーブルにかすかなしみを残し
フォォーイ、フォォーイ


 祈ることしかできない
と彼女はいい
 待つことがすべてさ
と彼はいい
二人が夢見た喫茶店は夢の中で分解し
二人は濡れた歩道を歩く
一人は右に傾き
一人は左に傾き
つまり、肩寄せあって
 フォォーイ、フォォーイ