着の身着のまま


今日、65歳になった。
65年も生きてしまった。
この65年を表すのに、どんな言葉を当てればいいのだろう。
例えば、こんな言葉がある。
「着の身着のまま」

身だしなみというものに全く関心がない。風呂は嫌いで、散髪屋にも行かない。そう、散髪屋に行ったのは、19の時が最後だった。以来、適当に自分で切っている。
「両手にハサミを持ってね。こう、両方からぱちぱちと切るんだ」と言ったら、
「あんたは器用だから」と、妙な納得をされたこともあった。

こういうありさまだから、自身の健康にも関心がない。公の病院で健康診断を受けたのは、大学入学の際の健診だけだ。
酒は飲むし、タバコは吸う。

誕生日を前に、最後に残っていた2本の歯を抜いた。残りの人生は、総入れ歯の人生となる。

ハチャメチャだが、そういう自分に対して、真面目でもあった。

後、5年くらいは、生きているかもしれない。