カエルと虚空蔵菩薩



庭にカエルがいた。
えらく悟った顔をしている。
「おぬし、ただものではないな」と聞いてみた。
カエルは答えた。
虚空蔵菩薩、それがおれの真の名だ」
虚空蔵菩薩といったら無限の智恵と慈悲の菩薩じゃないか」
「さよう」
「それがなんでまたカエルの姿でいる?」
「お前と話をするためだ」
「なんでおれと話をする?」
「おまえは悩んでいるだろう」
「そう言われれば、そう、悩んでいる」
「お前の悩みはじきに解決するだろう」
「だったらいいけど」
「大丈夫だ。心配するな。今日はそれを告げに来た」