お寺で朗読(龍ヶ岳)

雨模様の一日。倉岳の山頂は霧に隠れている。
本渡から龍ヶ岳まで車でおよそ一時間。倉岳は、その中間点あたり。
倉岳から龍ヶ岳までは、曲がりくねった山道が続く。
「27のカーブがあっとですよ」と地元の女性。「いえね。以前に本渡から龍ヶ岳の中学校まで3年間通わした校長先生がおらしたとです。それで、毎日毎日通勤するのにカーブを数えらしたとです。しまいには一つ一つのカーブに名前まで付けらした」

目指すお寺についた。
「夕食は準備しておきます」との言葉通り、5時半に刺身が届けられた。
「今日は法事が4つもありまして…」
さすがにお寺だ。

この刺身、素人がつくったものでも玄人がつくったものでもない。強いて言えば、「風雅人(びと)」がつくったものだ。
芽吹いたばかりの山椒の葉とスミレ、桜の花の一枝まであしらってある。

この日の朗読は、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』。

お御堂の前でカミさんは朗読した。
年度はじめで相当に疲れているカミさんの、それでも精一杯の朗読。

家へ帰ったのは11時だった。