山の中の観音像

雨と雨の間の奇跡的に晴れた一日。夕方には風が吹いてきて、夜には雨が降りだしたから、どれほど奇跡的だったかが分かる。

この日、小ヶ倉観音の周辺を「パトロール」することになっていた。先月の初めに山の中に看板を建てたところだ。

実はここで発見された両生類が、昨年新種と認定された。このことは、場所の特定こそなかったが、新聞にも載った。こういう「新種」は、マニアや研究者にとってどうしても手に入れたいものらしい。「パトロール」は、それを見張るためのものだ。

この両生類は4月から5月にかけて産卵する。産卵場所は川だ。この時期だけ、彼らは川に集まる。それ以外は、照葉樹林の奥深くに棲む。

この日は川を離れて、近くの山を歩いてみた。すると、山の中に観音像がいくつもある。よく見ると、番号が彫ってある。八十八あるのだと地元の人は言っている。作られた年代はさまざまのようだ。

昔は、川に沿って曲がりくねった道があって、これらの観音像は道しるべのように置かれていたのだろう。
どれも、その表情がおもしろい。あたたかさとユーモアさえ感じるようだ。

ゆっくり見てください。