11月最後の日に

朝から冷たい雨が降り始めた。午後になって雨は激しくなり、風も吹いてきた。
そして、この日、郷土史家の鶴田文史さんが亡くなった。78歳だった。

祇園橋」の問題が持ち上がってから、鶴田さんの自宅で何度か会議が開かれた。9月には、集まった署名を天草市長に届けた。しかし、その席に、鶴田さんの姿はなかった。すでにがん細胞は、氏に対して壊滅的なダメージを与えつつあった。
「祗園橋」の結論はまだ出ていない。

天草を愛する、情熱の人だった。
今夜、仮通夜ということで行ってきたが、部屋にボクシングのグローブをつけてポーズをとる若い日の鶴田さんの写真があった。矢吹丈も真っ青になるほどの引き締まった体と精悍な顔をした若者の写真だった。鶴田さんは京都での大学時代ボクシングをやっていたのか。今日初めて知った。


表に出ると、雲の切れ間から半月が見えた。

雨は、いつしか止んでいる。