大きくなった与作

与作が家に来てからそろそろ一年になる。
与作は、夜の道でカミさんの車に轢かれたのだった。まだ小さい与作は、口と鼻から血を流していた。段ボールの箱にバスタオルをしき、その上に寝かせた。このまま死ぬかもしれない、と思っていた。その時は、世界一不運なネコとして墓でも作ってやらねばなるまい、と覚悟していた。
去年の七月の日記。
http://d.hatena.ne.jp/Kurosuke/20120714/p1

名前も、デミからカッちゃん、兄ちゃん、ニイちゃんへと変わり、いつの間にか、
「こいつの顔はどこから見ても与作だ」と、いつもの調子で訳の分からない根拠を出して、いつしか「与作」が定着してしまった。
http://d.hatena.ne.jp/Kurosuke/20120717/p1

与作は暑い夏中を車で過ごした。天草環境会議にも一晩泊まりで一緒に参加した。車から降りないのだからどこへ行くにも一緒だ。
http://d.hatena.ne.jp/Kurosuke/20120730/p1

http://d.hatena.ne.jp/Kurosuke/20120816/p1#c

さて、一年が経って、その与作が大きくなった。
もともと手足が長いネコだったが、今や大きさではチビスケを追い越した。そして、与作は車ネコ時代の習慣が抜けない。目を合わせると胸まで跳び上がってくる。冬のあいだは厚着しているからよかったが、夏になってTシャツ一枚だ。与作は落ちまいとして爪を立てる。背中を向けると背中にぶら下がる。
胸も背中も傷だらけだ。