竹トンボ

日曜日の夕方になると遊びにくる近所の子どもたちに、
「おじちゃん、なんか作ろう」と誘われていた。
「なんかってなんだろうねぇ」ととぼけていたら、子どもたちは工具箱から釘とハンマーを持ち出して、作業台にしている丸太の切り株に釘を打ち込む。
「これ、切っていい」とノコギリで竹を切りはじめる。
「ナタがあったよ」
切った竹を割っている。
「おじちゃん、ナイフ貸して」
今度は、割った竹を削り始める。危なくて仕方がない。指でも切ったらどうするんだ。子どものお母さんが血相を変えてどなりこんでくるに違いない。
「わかったから、竹トンボ作ろうか。でも、今日はもう遅いから帰ろう」
そう言って先延ばしにしていた。
11月3日は「文化の日」だ。老人施設の文化祭に流木の作品を出してください、といわれていたのを思い出した。流木といっても、「オカモチ」と「イス」くらいしかない。それで、子どもたちと作る前の予行演習として竹トンボを作った。
色をつけていたら、やっぱり、ネコを描いてしまった。
「ネコが空を飛ぶか」
はい。飛ぶのです。うちのネコは。