チビスケのハンモック


暑い。夜中の12時を過ぎても部屋の中は30℃ある。
昨夜チビスケは帰ってこなかった。昼間も帰ってこない。夕方になってエサを食べに顔を見せた。それから、また、いなくなった。
「きっと、自分だけの涼しい場所を見つけたのよ」とカミさん。
そんな場所があるならおれも行ってみたいもんだ。
家の周りを歩いてみるが、涼しそうな場所は、ありそうでない。
日が暮れて、西風が吹き始めるころ、開け放した縁側に行った。ここが家で一番涼しい。縁側に座って何気なく上を見た。いた。チビスケはハンモックに寝ていた。
ここへ引っ越した年の夏、家の西側と南側に遮光ネットをつけた。4年目になって遮光ネットは、ゆるんだり、破けたりして、相当くたびれてきているが、チビスケは絶妙のところに寝ている。
「そうか。昨夜は一晩、そこで過ごしたのか」
「ニャ」
「今夜もそこか」
「ニャ、ニャ」
「おれも行きたいけど、おれが乗ったら間違いなく破れちまう」
「ニャ、ニャ、ニャ」
チビスケはあわてて顔を振った。