久米島1

去年の秋、パソコンのインストラクターの半年契約の仕事で息子が久米島に行った。その時からなんとなく「正月は久米島で」と、いう話になった。たぶん、おれが言い出したのだろう。以来、どことなく落ち着かない日が続いていた。いくどか東京にいる娘と久米島にいる息子と確認し合った。
しかし、さすがに正月の久米島は混雑している。航空券も高い。
そこで、ずらした。
1月5日から7日まで久米島で過ごすことにした。2泊3日だ。
航空券の予約とホテルの予約は東京で娘が担当した。
予定では1月5日に福岡空港で東京から来る娘と合流し、一路、那覇へ向かう。


当日、天草は快晴だった。ネコのチビスケを置いて、朝7時に出発。三角駅に車を置いて熊本へ。熊本駅のホームで新幹線を待つ間の寒かったこと。晴れてはいるがおそらく気温は5℃くらいだろう。ところが福岡に近づくにつれて雲が目立ち始めた。
娘と落ち合って飛行機へ乗った。やがて、離陸。町並みがどんどん小さくなっていく。白く厚い雲を抜けた。360度白い雲だ。その白い雲がどこまでも続く。機内アナウンスが入る。「当機は高度3万5千フィートを時速680キロで順調に飛行しています。なお、那覇では小雨が降っていて、気温14℃とのことです」
鹿児島を過ぎたと思われるあたりから白い雲の中に灰色の雲が混じりはじめた。時間とともに灰色の雲の領域は増していく。飛行機は降下し、灰色の雲に入った。
那覇の町が見えた。500メートル、300メートルと降下しながら那覇の上空を飛ぶ。滑走路が見えた。自衛隊の格納庫が見える。その前にはダークグレイの飛行機が並ぶ。沖縄だ。機内アナウンス通り小雨が降っている。