満月。

ロ、ロ、橋の下のコウロギです。
最近、橋の下が混雑してきました。
若者が増えました。ダンボールがカラフルになっていくので、それと分かります。先日は、「ヘルプ」と書いたダンボールが現れました。
かわいい若者です。いいえ、若者というには、年をとっているでしょうか。コウロギ歳でいえば、40命日歳の頃でしょうか。
ええ、満月は巡ってきました。平等に。
若者は、川の向うの満月に向かって一声叫びました。
「ウオォォォ・・」
それから、ダンボールの扉をパタンと閉めました。
その夜、若者のダンボールからはすすり泣く声が聞こえました。
そんな具合で、この夜は私らコウロギも鳴くのをひかえておりました、ロ、ロ。