談合島

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集まって話し合うことを談合という。

その昔、この地方では一揆があった。島原・天草のキリシタンの乱とも一揆ともいわれる。1637年のことだ。

そのさいに島原方と天草方が集まって協議をした。この島は天草、島原の中間点に浮かぶ。父親の世代までは、この島のことを「談合島」と呼んでいた。で、子どもたちは「ダンゴ島」。だから、子どものころぼくは、ダンゴというのは平たいものだと思っていた。

昨日は山桜を探しに千巖山へ行ったのだった。この山も父世代までは「テシャクシ山」と呼ばれていた。テシャクはテジャクのことで、手酌のことだ。自分の盃に酒を注ぐ。そうして一揆勢は出発したのだと。

 

今日は「頌徳祭」。

20人ちょっとが頌徳碑の周りに集まった。マイクを持っているのは、中島真一郎。大学を出て中華料理店でバイトをしながら苓北に通ったと。そのころから40年が過ぎようとしている。

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このまま公開します。

 

 

 

 

手羽先の先丼

今夜のタヌキ食堂のメニューです。

どんぶりに飯をよそって、昨夜のサバの味噌煮の残った煮汁をかけ、今夜のうどんのダシに使った手羽先の先をのせる。それだけです。

ただ、タヌキは待っているのです。どんぶりを持って表に出ると、小枝の触れ合う音がして、どんぶりを置いて5,6メートルも離れるとタヌキがやってきます。今夜改めて数えたら4匹です。

今夜は、カミさんが持っていきました。

その手羽先の先丼。

 

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止まる

3,4日の間、壁の同じ場所にとまっていた蛾が床に落ちていた。

拾って写真を撮った。

動き始めたばかりの春の中、止まってしまった命を思う。

わたしたちは、命のつながりについて何も知らない。

そのことを恥ずかしいと思う。

せめて今夜は止まってしまった命に、黙とう。

 

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動く

いよいよ春が動き始めた。

しかし、春はずっと準備していた。たとえばスミレは、冬の太陽の光を集めて、白い地下茎を伸ばし、タラの木は、そのトゲの先端で極微細の光の粒子を数えていた。

動く、とはこういうことだ。

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タヌキ食堂

今年は春が早い。

ウグイスの初鳴きは、2月25日に聴いた。

桜が咲くのも早いだろう。キリシタン公園の桜のつぼみも膨らんでいるようだ。

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 チビスケは陽だまりを見つけては、寝てばかりいる。

 

問題は、タヌキだ。

夜8時ごろのタヌキの食事が恒例化してきた。

今日のタヌキ飯は、500グラム100円で買ってきた、だしをとった後の手羽先の先。このだしで初日はサトイモと大根を煮た。昨日はレンコンとカボチャを煮た。

ダシガラは2回に分けてタヌキが食べる。

まさにタヌキ食堂だ。

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春霞

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さあ、春ですよ。

どこか遠いところからささやく声がする。

これから先、どんな春を過ごし

どんな夏を迎え、どんな秋を待つのか。

 

それにしても

春はかなしい。

厳しい冬を懸命に生きた命が力尽きるのが、春だから。

春霞は、生と死の境界をも

あいまいにしてくれる。

 

 

 

潮騒

 地域の雑誌(年一回発行)に『潮騒』というのがあって、ぼくもこれまでに幾度かつたない詩をのっけてもらった。

 先日、『潮騒』の編集委員をやっている知り合いから、詩を出してくれないかと電話があった。ぺージが余っているのだという。来週の水曜日くらいまでに印刷所に持って行ってもらうとありがたいと。

電話をもらったのが、先週の土曜日。今日は火曜日で水曜日といったら明日じゃないか。

 実はこの『潮騒』には、去年は娘が書いている。で、今年はカミさんが書いて、秋には原稿を送っている。
 
 ま、頼まれたからには仕方がない。明日、持っていくことにする。

 その詩。


   やさしさの王国


空には雲が浮かび
風が吹き
木の葉が舞い
木の葉は
一匹のアリの上に落ちる

きみは一部始終を見た
とうの昔にこの世界を離れた雲と
気まぐれな風と
春の芽吹きのために葉を落とす木と
突然の暗黒に戸惑うアリと

きみは立ち止り
そっとつまんで 木の葉を持ち上げる
アリはきみを見
きみはアリを見る
「ようこそ やさしさの王国へ」
アリはうやうやしく頭を下げる

「あなたのお席はこちらです」
アリは落ち葉の椅子に導く
「座ったら目を閉じてください」

目を閉じると浮かび上がる光景
小川のせせらぎ
無数の明かりは 流れにゆれて
かなたには 河口の風景
それから
渚にうちよせる波
海の向こうの山々にあふれる光
風が ささやきながら頬をかすめ
静かで やわらかな時のなかに

きみは 涙があふれるのを感じる

「いかがでしたか」
アリがささやく
きみは あふれる涙のままうなずく

「また お会いしましょう。
こんどわたしは コオロギかもしれません。
風に舞う 木の葉かもしれません」